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倫理学専攻
学部

●倫理学専攻における研究と教育: 本塾では,哲学の多くの部門のうちの幾つかが哲学専攻で,幾つかが倫理学専攻で,研究され教育されているが,このような大学は全国でもわずかしかない。当専攻の教員の専門研究領域は,前頁の表にある通り,仏独露英米の近代思想と現代思想であるが,日本を含めた東洋思想に関心を持っている者もおり,また,他大学からも優れた講師の方々を招いているので,学生諸君が専門教育科目や個人指導を通じて学べるものは,教員の専門研究領域よりもずっと広い。そこで以下では,倫理学という学問の性格と私達の教育理念とを,カリキュラムに即して述べることにしよう(『 』内は科目名。アンダーライン科目のみ全員必修)。

 倫理学とは,一言で言えば「人間の生き方」を探求する学問である。したがって,私達が「いかに生きるか?」という問いを発するところ,どこにでも倫理学の糸口は存在するのであり,アイデンティティの確立期にある学生諸君なら誰しもこの問いを有しているはずである。この問いを深め,あるいは新たに発見する道は大きく分けて二つある。第一は,古今東西の思想家(哲学者だけではなく,文学者,人間と社会に関する科学者,精神医学者なども含む)との「対話」を通じて,「人間存在」の根底に迫る道である(『倫理学概論』『倫理学の基礎』『哲学的人間学』『西洋哲学倫理学史』『東洋倫理思想』 『日本倫理思想』 『キリスト教概論』 『仏教学概論』)。この道は,思想家の精神的創造活動の舞台としての「文化」の本質や諸文化の特性を考える道に通ずる(『文化と倫理』)。第二は,現代社会に生じている身近な諸問題を手懸かりにして,近代の自然観・生命観と社会原理がどのようなものであり,ポストモダンとも言われる今日,どのような修正や発想の転換が必要かを考える道である(『自然と倫理』 『社会と倫理』)。しかもそれを思想レベルに留めることなく,ライフスタイルの問題として受けとめていこうという姿勢を私達はとっている。(『生活と倫理』)。

 以上のような科目を通じて学生諸君が最も強く関心を抱いたテーマを,教員の助言を通じて展開し,卒業論文へまとめていくのが『研究会』(3・4年生)である。これまでのテーマを傾向別に分けると,問題中心型と人物中心型になる。前者は,愛,自由,悪というような根本問題から,生命倫理や環境倫理のような現代的問題まで大変幅広い。後者も,仏独露英米日の多様な文化圏の代表的思想家の殆どがこれまでに採り挙げられている。具体例は,年末の専攻説明会の際に紹介する。また,『原典講読』の語学の種類は前頁にある通り4つである。その場合,日吉で独,仏,露を履修した者は,三田においても独,仏,露を履修する必要がある。中国語に関しては,中国思想を研究し,その延長上で卒論を書こうとする者のみが,三田で中国文学専攻設置の原典講読に対応する科目を履修することができる。それ以外の中国語履修者,また伊,西,朝鮮語を日吉で履修した者は,独,仏,露,英の中から選択することができる。研究会で使用されることのある外国語は英独仏露の4カ国語である。

●キャンパスライフ: 学生数は,最近は1学年平均30名である。比較的少人数のメリットを生かし,教室と研究室においてはもちろんのこと,授業以外でも教員と学生,そして学生間のコミュニケーションが大変親密なのが当専攻の特色である。学生は多士済々で,ロックミュージシャンもいればオーケストラプレイヤーもいる,テニスのチャンピオンもいれば武道にいそしむ者もいるといった具合で,皆,それぞれの学生生活の中で自分なりの「倫理」を探究しているようである。

●卒業生の進路: 卒業生の進路も,したがって多様である。企業への就職状況に関しては他専攻,他学部とほとんど同じである。近年マスコミ関係(放送・新聞・出版)が増えている。また文筆家や外交官として活躍している人もいる。詳細は,年末の専攻説明会の際に紹介する。

 21世紀を迎えた私達の周囲には大きな課題が山積しているが,そのいずれをとっても,「倫理」を抜きにした解決の道はありえないので,私達は「人間」について若々しく新鮮な感性をもった学生諸君が倫理学的探究に向かい,新しいテーマに積極的に取り組まれんことを願っている。

「2003年度専攻案内」から

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