開催趣旨
オープンガバメント・オープンデータとは、デジタルネットワークを用いて政府機関の透明性を高め、情報やデータを市民に提供して政府機能への参加を推進する考え方である。オープンガバメントはオバマ前米国大統領が就任当初に提唱して話題になった。日本では経済産業省が音頭を取って推進しようとしたが、トランプ政権に代わってからこの用語はあまり使われなくなっている。オープンデータは、政府機関のデータに限らず、さまざまな機関がデータをネットで相互に交換できるようにする考え方であるが、とくに「官民データ活用推進基本法」(平成28年法律第103号)が制定されて、中央政府、地方公共団体が積極的に期間内のデータを公開していく方針が示されている(参照:政府CIOポータル「オープンデータ」<
https://cio.go.jp/policy-opendata>)。
このワークショップでは、ビッグデータ時代のための使い勝手のよいデータの公開推進という立場ではなく、政府・自治代の透明性や行政の効率性を進展させ、市民の政府・自治体への情報アクセスと職員の職務情報へのアクセスを向上させるのに、図書館がもつ資料や情報・データを収集し、蓄積し、提供する機能の再評価が有効であるととらえる立場に立つ。従来から図書館は、地方行政資料を収集してきたし、近年ではボーンデジタルの行政情報を収集しているところも増えている。日野市の市政図書室や鳥取県県庁内図書室を始め、庁内に図書館機能が組み込まれているところもある。また、地方自治法で議会図書室の設置が規定され、庁内に行政資料室が設置されている自治体も少なくない。オープンガバメント、オープンデータ時代において、これらが果たす図書館的機能について考えてみたい。