10月13日、三田キャンパス南校舎ホールにて、極東証券株式会社寄附講座による文学部公開講座「橋渡しする文学部」の第3回「芸術を届ける」が開催されました。文学部長の松浦良充教授の挨拶に続き、美学美術史学専攻の後藤文子教授と福田弥准教授が講演をされました。
後藤教授は、共同体の様態を示す「ゲマインシャフト」の概念を用い、慶應義塾に縁の深い建築家谷口吉郎と彫刻家イサム・ノグチの二人の出会いと協働(コラボレーション)が、新萬來舎あるいは談話室「ノグチ・ルーム」という、感性的で統合的な戦後の新たな交流の場の創造に果たした役割を説明されました。
福田准教授は、音楽を届ける場としてのクラシックコンサートについて、その内容が声楽から器楽中心に変化する19世紀中頃を画期とし、それ以前と以後を対比的に紹介、本来のコンサートが、聴衆の多様な受け取り方を許容する、日常的で開かれた存在であったことを示されました。
講演の後は、フロアの皆さんと活発な意見交換がなされ、芸術の定義や範囲の捉え方、今後の変化の在り方、また多様に変化する芸術作品への向き合い方などが主な論点になりました。講演に来られた方の年齢層は若干高めでしたが、高校生など若い世代からの質問・発言も多く、盛況の内に公開講座の第3回は幕を閉じました。