7月14日、三田キャンパス西校舎519教室にて、極東証券株式会社寄附講座による文学部公開講座「橋渡しする文学部」の第2回「他者とつながる」が開催されました。文学部長の松浦良充教授の挨拶、社会学専攻の三尾裕子教授による導入的解説に続き、文学部の卒業生で現在は東京外国語大学で教鞭を執られる床呂郁哉教授が講演をされました。
講演の目的は「他者とつながる」多様なあり方を広い視野から考察することと位置づけられ、まず床呂教授のフィールドである東南アジアのボルネオ島を例に「『いまここ』にいない他者とつながること」が、次にバリ島や中国、沖縄の祖先祭祀や東北の被災者の体験談を例に「もう存在しない他者(死者)とつながること」が、豊富な資料を交えて解説されました。
講演の後半では「人間ではない他者」として動物、自然物、人工物が取り上げられ、それらの「非人間の他者とつながること」の意味や可能性が、歴史や生物学、コンピューターサイエンスの知見も踏まえながら検討されました。
講演の後はフロアの皆さんと活発な意見交換がなされ、「他者とは何か」という質問に対しては「他者」および「自己」の定義が時代とともに変わっていく可能性が指摘されました。また床呂教授が文学部において文化人類学を志した理由についての質問などもあり、盛況の内に公開講座の第2回は幕を閉じました。