私の専門は、日本近世史です。安土桃山時代から江戸時代までの、およそ300年間を扱っています。この時代は独自の身分制社会であり、私たちの生きる近代社会の前提をなす、いわば伝統社会でもあると考えられます。
私は、これまで必ずしも注目されてこなかった近世の仏教を切り口として、この時代の人間や社会の在り方を考えています。「宗教社会史」と銘打って、取り組んでいるところです。
出発点は、地域で生活を営む民衆(被支配身分の人々)と、仏教の救済思想との関係を問うことでした。最近では、仏教教団と幕藩領主との関係、言い換えれば近世の政教関係を検討しています。また、神仏をめぐる秩序にも関心を持っています。各地に残る史料を読み解くことで、新しい歴史像の構築を目指します。