2000年、伊良部島ダツマスの映像
                                              野村伸一

 沖縄県宮古市伊良部島のアダンニ御嶽でおこなわれるダツマス。ダツは抱く、マスは枡(祭器)。新生児報告の儀礼(比嘉康雄「母たちの土地(くに)」7『琉球新報』、1996年7月31日)。
 前年旧4月から翌年5月までに生まれた子供のための神願い。新暦6、7月の行事。子の祖父母、両親、また帰郷できないばあいは本家の者が参加。村の子、神の子として祝福を受ける。祈願後は祝宴の場となる(奥濱幸子『暮らしと祈り』、ニライ社、1997年、57-67頁)。

 映像 2000年6月29日 (3分42秒)
当日の参加者は100名余り。

  1) アダンニ御嶽のプ(ピ)スギニー拝所(ムトゥ)での祈り。新生児の父親ファヌウヤが主役のはずだが、母親たちが圧倒的に多い。
 下地カメ(1918-)さんによると「今年のダスマス拝みをやった子たちはすくすく育つように」と祈るとのこと。
  2) 赤児への祈願ののち、ユーヌンマ(司祭者)らはブトゥザ(踊り座。ユークゥ<五穀豊饒>祭で踊る所)に移動して祈る。この反対側(南側)にはナーヌス(名主)という拝所もある。そこは名前を授けるところとみられている。拝所は都合三箇所である。
  3)祈願のあとの宴。宮古民謡ほかの歌と踊り。

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