映像、苦悩する陳靖姑(『奶娘伝』第一本より)


陳靖姑は仏道に精進することを父親に咎められ、苦悩の末、入水を図る。龍女がそれをみて救出する。

 映像(2001年福建省寿寧県下房村)
 
  南楼で読経する陳靖姑。父の折檻。観音の登場、察知。仏罰を受ける父親。
 陳靖姑の苦悶。自死の道行。龍女による救出。


 〔参照文献
 
 『奶娘伝』冒頭の観音信仰  ところで、この芸能の台本に相当するのは『奶娘伝』である。そして、その冒頭に着目すると、陳靖姑は道教の神仙であるにもかかわらず、実は観音の系譜上にあることが明示される。すなわち、父母同寿の祝いの日だというのに、陳靖姑は南堂にこもり、ひたすら観音を母親とみなして祈りを捧げる。そうして、父親の怒りを買い、看経拝仏をやめさせられる。悲観した陳靖姑はやがて家を出て、身投げを決意する。ところが、その寸前、龍女に助けられる。そして、ここから陳靖姑の遍歴がはじまる*1。
     (野村伸一『東シナ海祭祀芸能史論序説』 、風響社、2009年、191-192頁より。)


 注

1.『奶娘伝』に沿って臨水夫人の諸相をみていくことは、野村伸一編著『東アジアの女神信仰と女性生活』、慶應義塾大学出版会、2004年の15頁以下、198頁以下などの箇所を参照のこと。また『奶娘伝』の全般的な解説は、葉明生、道上知弘訳「福建女神陳靖姑の信仰、宗教、祭祀、儀式と傀儡戯『奶娘伝』」『日吉紀要. 言語・文化・コミュニケーション』No30、2003年、の69頁参照。

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