シンポジウムの概要:
本シンポジウムは、構造主義以後の現代フランス哲学界を牽引した哲学者の一人ジル・ドゥルーズ(1925-95)が、その活動の全時期にわたってさまざまな著作において論じた法をめぐる問題について、若手のドゥルーズおよびドゥルーズ=ガタリ(※)研究者三人を中心に議論を行ないます。具体的には、(1)ドゥルーズによって「法」や「道徳」に抗するとされる「倫理」の内実はどのようなものか、(2)ドゥルーズ=ガタリが提示する「欲望」と「社会」、そして「欲望」と「法」との関係はいかなるものか、(3)ドゥルーズ法哲学の核心である〈法実践知(jurisprudence)〉とはどのような構想か、そしてそれは人の生にいかなる肯定的な効果をもたらしうるのか、少なくとも以上三点が議論の争点となることが見込まれます。これらの論点について、提題者と特定質問者による発表ならびに相互間での討議の後、コメンテーターも加わって議論を行ない、さらにオンラインでの参加者からの質疑の時間を設けることで、ドゥルーズおよびドゥルーズ=ガタリ研究の専門家のみならず、広く多方面に開かれた議論が交わされることを期待しています。
※通例に倣って、ドゥルーズと精神分析家フェリックス・ガタリ(1930-92)が二人で書いた共著の著者名として、この「ドゥルーズ=ガタリ」という名称を用います。