講演会の概要:
文化人類学や民俗学、宗教学などで見かける「異界」の概念は、1980年代以降の日本語圏で普及した、比較的新しいものである。しかしその概念規定については曖昧であるという指摘があり、現在もなおその問題は解決していない。また、前近代から使われてきた「他界」や前世紀末から多用されるようになった「異世界」などの類似概念との関係もほとんど明確になっていない。本発表では、現代の都市伝説を中心とした「怖い話」における「異界」の多様性を検討しつつ、これらの概念の適用範囲や適用可能性にはどのようなものがありうるのか考えてみたい。