概要:
書物の形態、用途、受容、社会的役割は変化し続けてきたし、今後も変化し続けるだろう。新技術の導入はしばしば転機となりうるが、その結果は単純には説明できない。こうした変化の背後には、著者、印刷者/出版者、校正者、彩色画家、製本職人、読者、コレクターらが共有する期待の地平の広がりがある。テクストとパラテクストにおけるさまざまな革新的な要素―書体/活字体、ページ・レイアウト、テクストの分割方法、読者のための実用的なツール―は、意識された期待も意識されていない期待もあぶりだす手がかりとなる。そこで、本シンポジウムでは、初期近代の西洋と東洋において、書物と書物の姿、また人々が抱く「書物がどのような姿をしているべきか」という時代とともに変化する期待について検討する。