7月20日、今年度最終回となる第3回文学部公開講座「アメリカ文学とフロンティア」が三田キャンパス北館ホールで開催されました。松浦良充文学部長の挨拶に続き、文学部英米文学専攻の巽孝之教授と、本学部仏文学専攻卒業で現在は義塾経済学部の新島進教授が講演を行いました。巽教授は「新たなフロンティアを創造する」という題目の下、魅力と恐怖が相半ばする驚異の空間であるフロンティアが当初はアメリカ大陸そのものであったものの、次第にそれが南極や地底、海洋、さらには空や宇宙、そして20世紀後半に至ってはインターネットに代表される電脳空間の中に見出されてきたことを明らかにしました。
一方、新島教授は「フロンティアとジュール・ヴェルヌ〈驚異の旅〉」というテーマの下、SF文学の祖とされるヴェルヌが空想科学小説の創作に当たっては読書を通じ獲得した科学的知識に依拠することを重視しており、そんなヴェルヌにとっては既知と未知との境界こそがフロンティアであったという考えを示しました。
講演後の質疑応答では、「電脳空間に続く次なるフロンティアはどこか」や、「なぜフランス文学を専門としたのか」といった多くの質問がフロアから寄せられる一方、両教授からは外国文学を学ぶ魅力や難しさについて熱のこもったコメントがあり、終始活況のまま閉会の時間を迎えました。
今年度の公開講座にも大変多くの方々に足を運んで頂きました。ご参加頂き誠にありがとうございました。