またそのなかで、私財を投じて都造りなどの国家事業に参加し、褒美として位をもらう地方豪族の存在がふと気になりました。位とは、官人(現代風にいえば役人)の身分です。国家の運営に官人は不可欠な存在ですが、正規のポストに就けなくとも位を持っていることや役所と関わる身分にあることが重要だったようで、従来考えられていた以上に多くの人の需要があったことが明らかになってきました。また、国家も彼らのニーズを踏まえて身分を与え、支配に利用しようとする側面などもあったようです。このような人々と国家との関係によって、律令制に基づいた文化が、広大な裾野へと展開してゆくと見通しています。
こうして最近では、地域史研究も実践しながら、地方も含めた律令制の定着・展開の過程について研究を進めています。