私が研究分野としているのは、ドイツ現代史とユーゴスラヴィア史です。とりわけ、第一次世界大戦以降の中央ヨーロッパとバルカンにおいて、各国の国民がどのように作られていったのか、逆に、国民として認めてもらえない住民はどのように排除されていったのかということについて研究を進めています。よき隣人として人生の大半を共に過ごしてきた住民、血を分けた同じ家族のメンバーが共生することを許されないような民族主義、人種主義のメカニズムは歴史的にどのように生起するのでしょうか。その点に関して、ヨーロッパ周縁の多民族社会において人と人との関係が劇的に変化する重要な画期となった、ヒトラーのドイツによるユーゴスラヴィア解体、セルビア占領、ボスニアを含む「クロアチア独立国」の創設について、セルビア語やクロアチア語、ドイツ語で書かれたオリジナル史料を発掘して分析しています。