「時間の忘却と近代医学の誕生」
要旨:従来、近代医学の誕生は「科学的発見」を中心に語られてきた。今回の講演では、今まで見落とされてきた「時間の忘却」という観点から伝統医学から近代医学への移行を再考する。
栗山茂久(ハーバード大学)
コメンテーター
東畑開人(白金高輪カウンセリングルーム)
梅田夕奈(東京都立松沢病院)
プロフィール;
Shigehisa Kuriyama
栗山茂久
ライシャワー研究所文化史教授
エドウィン・O・ライシャワー日本研究所所長
東アジア言語文明学部、ライシャワー研究所文化史教授及びラドクリフ高等研究所人文学部門の主任を務める。
日本、中国、ヨーロッパの比較文化史の視点から、幅広い哲学的課題を考察する研究を行っている。著書の『The Expressiveness of the Body and the Divergence of Greek and Chinese Medicine』(Zone, 1999)は2001年William H. Welch Medal of the American Association for the History of Medicineを受賞。中国語、ギリシャ語、スペイン語、韓国語に翻訳されている。
栗山教授の論文、編著は、定時性の歴史、認知と表現、筋力の形而上学、貨幣の性質、長い間忘れ去られていた老廃物の想像による支配などを研究している。
現在は幸福と存在感をテーマに研究を行い、(1)19世紀初頭の江戸時代の魚市場の風景を、(2)式亭三馬の浮世風呂での会話表現の喚起、(3)トーマス・エジソンの蓄音機、(4)ハンス・ホルバインの肖像画「大使たち」などに関連付けて研究を進めている。
Shigehisa Kuriyama has taught at Harvard University as Reischauer Institute Professor of Cultural History since 2005. Before Harvard, he served for eleven years on the faculty of the International Research Center for Japanese Studies in Kyoto. His research explores broad philosophical questions through the lens of comparative cultural history and the history of medicine. His best-known book is The Expressiveness of the Body and the Divergence of Greek and Chinese Medicine (ZONE Books, 1999), which has been translated in Chinese, Greek, Spanish, and Korean. His recent work includes a co-edited volume, Fluid matter(s) (Australian National University Press, 2020), which makes creative use of digital media to leverage some of the unique possibilities of online publication. He also has a keen and longstanding interest in the theory and practice of live communication and has conducted workshops on the art of presentation at many universities around the world.
東畑開人
臨床心理学者、臨床心理士・公認心理師。専攻は精神分析と医療人類学。白金高輪カウンセリングルーム主宰。慶應義塾大学大学院社会学研究科訪問教授。立命館大学客員教授。日本心理臨床学会評議員、同理事、同常任理事。近著に『ふつうの相談』。
梅田夕奈
大学院で文化人類学を専攻後、精神科医師になり、精神科臨床に従事している。東京都立松沢病院精神科医員。興味関心は、文化人類学・医療人類学・精神病理学・ソーシャルワーク。
司会:北中淳子(慶應義塾大学大学院社会学研究科)
連絡先:北中淳子 junko.kitanaka@keio.jp <mailto:junko.kitanaka@keio.jp>
*本研究会は科研費JP21H05174の助成を受けています。