世界的に高い水準にある日本の旧石器時代研究ですか、じつは日本最初の旧石器時代遺跡「岩宿遺跡」の発見当時から一つの大きな問題点を抱えています。それは遺跡でみつかる遺物の種類が後の時代に比べてとても少ないことです。最大の理由は、列島の地表の多くが火山灰起源の土に覆われていることにあります。火山灰は酸性なので、本来あったはずの骨や木などの有機質遺物が失われ、概ね石を材料とした石器のみしか残らないのです。世界的には、石以外の素材の各種道具(骨角器等)、旧石器時代人が入手した食料(動・植物)、旧石器時代人そのもの(遺骨)なども含めて総合的な研究を行うのが一般的なので、日本の旧石器時代研究は大きなハンディキャップを負っているといえます。