嬉しい、悲しい、腹立たしい、といった感情は、誰かとコミュニケーションをしているときでも、あるいは一人で考え事をしている時でも、経験することができます。目の前にある状況や、将来の予測、あるいは過去の回想、そして現実感のない空想に対してさえも、私たちは心を揺さぶられ、その感覚を感情として理解しています。
それでは、感情はどのようにして心に浮かび上がってくるのでしょうか。そして、その個人差はどこから生まれるのでしょうか。私たちの研究室では、この疑問を心と脳、そして身体の働きの関係性から理解しようと試みています。強い感情を感じた時に同時に起こる心臓や呼吸などの活動の変化は、心の働きの結果として現れるだけでなく、これらの変化を感じること自体が、感情そのものの内容や鮮明さに影響を及ぼしている、という仮定のもと、心理学や心の動きに伴う脳活動を観察する認知神経科学の手法を用いて研究をしています。