独文学専攻
映画、メディア学
目下のところ、小津安二郎の映画を手がかりに、日本映画と西洋映画の美学上の影響関係を研究しています。そのほかの研究領域としては、映画における時間表現、とりわけ低速度撮影と高速度撮影による表現可能性の問題があります。私の研究の理論的な基礎は、フッサールの現象学、ヴァルター・ベンヤミンの理論、そして比較美学です。
英米文学専攻
19世紀アメリカ文学・文化
マーク・トウェイン(1835–1910)を中心に19世紀アメリカ文学を研究対象としてきました。最近はジョージ・リッパード(1822–1854)らによる南北戦争以前の扇情主義的文学作品における拡張主義の研究に取り組んでいます。
英米文学専攻
英語史、歴史言語学
古英語から現代英語にかけての言語変化の諸相、および英語史の記述に関心があります。とりわけ言語変化の how と why を探ることに興味があります。なぜ英語の名詞複数形に -s がつくのかという疑問に目覚めてから何年も経ちますが、言語は不思議だらけですので、疑問が次から次へ湧き出てきて尽きることはありません。最近は REcord(名詞)と reCORD(動詞)のペアなどが示す「名前動後」の強勢パターンの歴史的発展や英語綴字史に関心を寄せています。
日本史学専攻
近代日本経済史・経営史,日本植民地経済史,歴史経済学
経済成長論における古典的な内生的成長モデルでソロー残差が含む中身の精緻的な解釈を目指し,生産関数上の各説明変数に対する同時的な規定要因として植民地の一次産品供給に着目しています。戦前期日本の植民地貿易で内地の主な輸移入品は,食料・原燃料が主要な消費用途の一次産品でした。そこで,食塩・米穀を事例に,定量・定性分析の併用で戦前期日本における植民地貿易の拡大と内地商品市場の量的・質的変容との関連を研究しています。
教育学専攻
陶冶理論 (人間形成論)、教育思想史
特に以下の点に関心をもち研究しています。
1 . 美的経験と陶冶(人間形成)の問題。
1.1 19世紀末〜20世紀ドイツの芸術・音楽教育の実践と理論への思想史的関心。
1.2 美的経験を適切に記述するための理論への関心。エルンスト・カッシーラー「シンボル形式の哲学」や近・現代ドイツの人間学への関心。
2 . ドイツ近現代教育思想史。特に「陶冶Bildung」概念に関する思想史研究。
3 . 現代日本において「大人になる」ことの意味・条件をさぐること。
教育学専攻
比較大学史・大学論、高等教育思想史、アメリカ教育史、教育学教育論
日本の大学改革・政策の動向を意識しつつ、アメリカの大学・高等教育について比較教育学の観点から研究しています。両国の大学・高等教育のシステム・制度、政策、組織・運営・ガバナンス、カリキュラムとそのマネジメントなどについて、主に思想的・歴史的構造の比較に関心をもっています。これまでは教養の形成や教育にかかわる諸問題を中心に検討してきました。主たる事例としているのは、実験的改革を繰り返すシカゴ大学です。
中国文学専攻
中国現代文学
女性作家の丁玲や廬隠を中心に、中国現代文学におけるジェンダー・セクシュアリティについて研究しています。
図書館・情報学専攻
図書館・情報学
公立図書館の制度・経営を中心に研究しています。特に、外部環境との相互作用の中で公立図書館がどのように事業を形成しているかを、行政学等、学際的アプローチを使って明らかにしてきました。得られた知見をもとに、コミュニティの知の拠点としての図書館のあり方を探っていきたいと考えています。
社会学専攻
文化人類学、東アジア研究
人類学的な角度から、民間信仰や世界観、旧大日本帝国支配下にあった人々の歴史認識と現在の社会構築についての研究、移民研究、グローバリゼーション研究などを行っています。フィールドは、台湾、中国大陸やベトナム中国系移民社会を主としてきましたが、最近はパラオや韓国、沖縄、奄美なども射程に入れています。
心理学専攻
言語心理学、発達心理学、認知神経科学
乳幼児―思春期の言語の獲得、社会認知能力の発達、それに伴う脳機能の発達について研究を行っています。発達障害を予期する乳児期の脳機能特徴を発見すべく、新生児期からの脳機能や眼球運動、身体運動など各種行動指標の縦断研究も行っています。
哲学専攻
言語哲学、論理学、意味論・語用論
現代の言語哲学と意味論・語用論の観点から、言語・論理・認知の接点にかかわる問題群を中心に研究を行なっています。また、言語学・計算機科学・認知科学など周辺分野との交流のもと、人間の言語理解の形式的・計算的なモデルを構築することに関心をもっています。
仏文学専攻
近現代フランス文学
20世紀の作家ジャン・ジュネの研究に軸足を置いていますが、ほかへの興味も尽きません。刑罰制度の表象については身を入れて調べていますし、「三面記事」、「帰還」、「告白」、「描写」など、ひとつの主題をめぐって複数の作品を読み解いていくことにも愛着をもっています。
図書館・情報学専攻
図書館・情報学
現在は,図書館情報学分野を事例として,学問分野が形成されていく過程に量的・質的両方のアプローチから取り組んでいます。またメディアの利用やウェブに関する共同研究にも参加しています。
倫理学専攻
現代フランス思想・実存思想と宗教思想
レヴィナスの思想について道徳性と人間的な生のあいだにありうる連関という観点から考察しています。とくに20世紀において、人間の単独性・唯一性をめぐる実存的な問題が、宗教思想に源泉を持つトピックと結びついて論じられる仕方に関心があります。
美学美術史学専攻
西洋美術史・芸術学
17世紀フランス美術史・美術論。ニコラ・プッサン研究を中心に、プッサンの作品を規範として掲げた17世紀後半の王立絵画彫刻アカデミーにおける美術理論の確立とその変容に関心を持っています。画家の制作論、実際の作品とその受容、作品や画家を巡る言説、社会的文脈、美術コレクションなど、相互に絡み合う様々な要因を考察に加え、研究に取り組んでいます。
社会学専攻
社会学理論、社会学史、社会科学の哲学、知識社会学、文化社会学、世界社会論
私の現在進行中の研究プロジェクトは以下の通りです。①ポスト・ポイエティック・パラダイムの研究:プラトン、アリストテレス以来の西洋思想の三つの軸は、制作(ポイエーシス)に定位した行為理解、制作物としての存在者理解、質的断絶のない、流れるものとしての時間(過去・現在・未来)理解です。社会学的思考も、その成立期にこの伝統 を受け継いでおり、例えば多くの行為理論で、行為の意味は制作物の意味をモデルに考えられています。ポスト・ポイエティック・パラダイムの研究はこの伝統的思考様式の相対化を目指します。②赦しと和解の社会学、③世界社会における民主制と権威主義の問題
諸言語部門
スペイン美術史
スペインの黄金世紀の美術について研究しています。特に初期セビーリャ時代のベラスケスのボデゴン画に興味があり、17世紀初頭のセビーリャにおける自然主義的絵画の起源とボデゴン画の関係を解明したいと考えています。同時代のスペインにおける絵画理論や絵画蒐集についても研究を進めています。
民族学考古学専攻
オセアニア島嶼世界のジオ考古学、歴史人類学、博物館人類学
南太平洋オセアニアや日本の八重山諸島をフィールドに、考古学と地球科学が協働するジオ考古学の手法を用いて、島嶼世界の景観史のなかに人と自然の「絡み合い(entanglement)」を読み解いてきました。近年は、クック諸島プカプカ環礁の調査プロジェクトを進めてます。また、18世紀中頃-20世紀初頭の植民地期に収集されたオセアニア造形物の歴史人類学的・博物館人類学的研究にも挑戦しています。
教育学専攻
日本教育史、社会教育史
日本の近代化過程において、読書という行為が人間形成にどのように関わるのかを歴史的に検討することを研究課題としてきました。上記の研究課題に加え、現在、明治期から1970年代に至るまでの学校・家庭・地域の連絡・協力関係について、第二次世界大戦後の成人女性(主に「母親」)に対して「民主主義」や「民主化」といった新しい理念がどのように教育されていったのかについて研究を進めています。
西洋史学専攻
スペイン(カタルーニャ)近代史
スペインの中でも独自の歴史・文化・言語を持つ地域(ネーション)のひとつであるカタルーニャの近代史を研究しています。ここ数年の研究テーマは、18世紀後半から19世紀初頭のバルセローナ市の絹織物及び絹に関わる手工業の職人の世界(仕事、家族、信仰)を、職人とその妻や寡婦の遺言書・死後財産目録・結婚契約書などの史料から再構築することです。なかでも特に現在は、ストッキング製造業者に焦点をあてて調べています。授業では、これまで勉強してきた都市形成、祭り、スポーツなど、カタルーニャの社会文化史に関わるさまざまテーマや、カタルーニャの独立運動の現状などを、広く紹介しています。
中国文学専攻
中国古典文学
明代の白話小説『三国志演義』を中心に、正史・志怪小説・地誌等の伝承に見られる史実と虚構との揺らぎ、特にメディアによる伝播のあり方の相違という受容史に関心を持っています。また、古典通俗小説が現代サブカルチャーとして展開する様相にも興味を持っています。
独文学専攻
近現代ドイツ文学・文化学
文学研究(Literaturwissenschaft)と文化研究(Kulturwissenschaft)とは密接に関連して発展してきています。私はこの立場を踏まえて、カルチュラル・スタディーズやブルデューの社会理論を援用し、近現代のドイツ文学を、文化や社会やメディアとの関係を重視しながら考察しています。転換点としての1945・1989年にも興味があります。
英米文学専攻
18世紀イギリスの文学・文化、スコットランド啓蒙思想、会話/対話としての哲学
学部ではイギリス経験論やアメリカン・プラグマティズムといった英語圏の思想史を学び、「共感」や「驚き」といった日常生活の言葉でものを考え、書くことの重要性を実感しました。大学院からは、文学と哲学が交差する18世紀イギリスの言語空間にとりわけ魅せられ、専門分野としてきました。ポスドク以降は「おしゃべりの文化」から18世紀イギリスの文学・思想・絵画についてずっと考えています。とりわけ、会話・社交する存在としての人間像を提示し、当人もお話し好きだった哲学者/歴史家/文筆家デイヴィッド・ヒュームの著作や書簡が研究の主軸です。プロジェクト研究では18世紀東アジアの専門家たちと協働し、「グローバルな18世紀世界」像の構築を目指しています。
民族学考古学専攻
旧石器考古学、日本古代史、文化財行政学
東北日本を中心とした旧石器時代の石材原産地遺跡や洞穴遺跡の調査・研究を通じて、過去の人々と周囲の自然環境との関わりを明らかにすることが主要な研究テーマです。さらに時代は新しくなりますが、古代瓦磚の研究を通して古代都城・官衙の成立・発展過程を考えることも研究テーマの一つです。また、遺跡の発掘調査や研究の成果を、一般の方々にわかりやすく伝えるための埋蔵文化財保護行政の仕組み作りにも関心があります。
教育学専攻
教育哲学、教育思想
教育と言語の問題全般に哲学的な関心をもっており、特にウィトゲンシュタインの哲学を研究対象としています。自律と他律といった教育学の古典的諸問題を言語論的観点から語り直すことを目標に、言語の規範性と創造性、経験と言語との関連性、概念の呪縛からの解放といった論点について考察しています。