図書館・情報学専攻
書誌学、書物史、図書館・情報学
西洋の初期の活版印刷術、特にグーテンベルク聖書を中心とするインキュナブラ、写本と刊本の関係、書物に対する考え方や読書の様式の変化などに関心があり、デジタル画像を用いたグーテンベルク聖書の研究を継続して行っています。また、資料保存、デジタルアーカイブ、貴重書のデジタル化、デジタル人文学にも興味を持っています。
中国文学専攻
中国語学
現代中国語に関する語彙や文法を中心に研究しています。最近は、辞書や教材作成、また語彙指導についての問題をテーマとした研究に取り組んでいます。
日本史学専攻
キリシタン史、中国天主教史
16・17世紀のキリシタン時代の歴史を、イエズス会を始めとするカトリック修道会の宣教師達がヨーロッパ本国に送付した書翰や報告書を用いて研究しています。とりわけ、東アジアにおけるキリスト教の神を崇めることに対する倫理の問題に関心を持っており、日本の問題を中国のそれと比較しながら検討しています。
仏文学専攻
発話意味論、語彙意味論 (フランス語,日本語)
「多義語」(主に動詞・形容詞・前置詞・接頭辞)の意味的同一性とヴァリエーションの記述を主要問題に据え、以下のテーマを目下の研究課題にしています。
・現代フランス語の前置詞・接頭辞の体系的記述
・現代日本語の格助詞の体系的記述
・フランス語・日本語のディスコースマーカーの意味論的記述
教育学専攻
フランス教育史、教育思想史
近代フランスの教育の歴史を主たる研究対象として、特に啓蒙主義の時代から19世紀末までの教育思想の意味を、知的・社会的・文化的文脈の中で明らかにしています。教育システムの中でも、人文学や哲学の教育と学習に焦点を当てて、フランスの中等教育の変遷を追っています。また、哲学研究や知識の社会史の観点から、知識と教育をめぐる現代的な問題を考えることにも関心があります。
哲学専攻
現代ドイツ語圏の哲学、哲学的論理学
私の現在の研究の柱は、二つです。(1) G・フレーゲの論理哲学、前期ウィトゲンシュタイン哲学、ハイデガーの解釈学的現象学を、いわゆる「形而上学的内部主義」と哲学的言語の可能性の問題をめぐって比較・架橋すること、(2)アリストテレス、カント(『判断力批判』)、ハイデガー、ガダマー、ウィトゲンシュタイン、ライル、アンスコム、マクダウェル、M・トンプソンらを、知識論・言語哲学・行為論における「フロネーシスの伝統」とも呼ぶべき哲学的系譜として描きだすこと。
倫理学専攻
哲学/倫理学
近現代のフランス哲学、とりわけジャック・ラカンの精神分析の思想的可能性を深堀りする研究を行ってきました。 ラカンの精神分析は、さまざまな人々の欲望が行き交う中で、私たちが「世界」と呼ぶような認識の枠組みが立ち上がる論理を明らかにしていますが、それはまさに、私たちがいま「当たり前」と考える「世界」の構造をあらためて考え直す契機を与えてくれます。『資本主義に出口はあるか』や『使える哲学』などの著作では、歴史的に積み重ねられた様々な言説によって無意識のレベルで私たちを規定する思考の枠組みを明らかにすることを試みました。 また、そうした無意識の構造は、文字通りの意味で私たちの「身体」を規定しているため、哲学の実践として、コンテンポラリーダンスの領域での作品作りにも関わっています。
民族学考古学専攻
日本考古学・博物館学
身近にある考古学資料や物質文化資料を分析対象とし、その成果を大きな歴史学的枠組みのなかに位置付けていくというのが、研究の基本スタンスです。慶應義塾には、三田キャンパス、日吉キャンパスを中心に、先史時代から現代に至る多種多様な資料が存在しており、研究する意義が見いだされたものなら何でも、時代を問わず研究対象にしています。現在は、日吉や三田の近現代、特にアジア太平洋戦争に関わる建造物の調査・研究にエネルギーを注いでいます。こうした研究の成果を軸に、日吉や三田という場に集う、さまざまな立場の人々の歴史的言説を絡み合わせたパブリックヒストリー的活動を展開したいと思っています。
英米文学専攻
中世英文学 (14-15世紀のラテン語・中英語宗教散文)
14世紀から15世紀にかけてイングランドで書かれた宗教文学について研究しています。中でも、ラテン語で書かれた宗教作品がどのように俗語である英語に翻訳され受容されたのか、そしてその過程でどのような神学議論が俗語読者たちの間に広がったと考えられるのかについて興味を持っています。
図書館・情報学専攻
エスノメソドロジー、情報行動、知識の社会学、サービスデザイン
人々のさまざまな営みを、営みに関わる人々の視点から理解することにこだわるエスノメソドロジーという学際的なアプローチをとって研究をしています。営みにおける実践を、人々が想起もしくは共有する知識を実践から切り離さずに理解することで、組織や集団における知識の共有や創造、継承などの問題を考察することに関心があります。これまで図書館や病院、企業などでフィールドワークを行ってきました。それぞれの場での実践を理解することが、知識のマネジメントに関わる課題を繊細さをもって捉えることになり、それが組織での仕事の仕方やサービスやテクノロジーのデザインについて現場の方々と共同で考える研究にもつながっています。
国文学専攻
物語文学、説話文学
平安〜近世期の物語・説話文学の成立、並びに、その享受を研究しています。
心理学専攻
実験心理学,認知神経心理学,計算論的運動制御
健常者/脳損傷患者さんの身体・運動・認知の相互作用に関する脳機能について,心理学実験・身体動作解析・生理学的計測を組み合わせて検討しています。
仏文学専攻
現代フランス文学及び思想
1930年代のフランス文学及び思想を主な考察の対象としています。シュールレアリスト、ジャンポール・サルトル、ジョルジュ・バタイユといった当時の若い世代の文学者、思想家が、ニーチェやハイデガーの影響を受けながら、どのように「思考する主体」を問い直そうとしていたのかを考えています。
人間科学専攻
計量社会学、社会統計学、社会調査法、家族社会学、福祉社会学
データ分析に関する計量的・非計量的方法に関心があります。これまではこうした道具を用いて社会構造とメンタルヘルス、家族・ライフコースなどを対象とした応用的な研究を行ってきました。近年はとくに貧困・低所得の世代的再生産やライフコースへの影響のメカニズムに関心があり、社会福祉政策・制度の効果にも関心を有しています。
仏文学専攻
18世紀フランス文学・思想
「18世紀は哲学の世紀であり、詩的精神は死滅した」という従来のフランス18世紀の捉え方に疑問を抱いたことを出発点として、自然とその中で生きる人々の感情を描く18世紀特有のジャンル「描写詩」の発展と、啓蒙思想家ルソーやディドロの人間論、美学的考察との関係について研究しています。また、19世紀以降のフランス詩の発展と描写詩の関連にも興味をもっています。
東洋史学専攻
東アジア近現代史、食の文化交流史、中国都市史
上海をおもなフィールドとして、新中間層と大衆消費・大衆動員の出現をテーマに、近代都市の社会変動を研究しました。近年は食の文化交流をテーマとして、20世紀以降のナショナリズムが中国料理をどのように変えたのか、帝国主義・植民地主義が東アジアの食文化にどのような影響を及ぼしているのかを明らかにしようとしています。各都市の雑誌・新聞や行政・企業文書を精査・照合し、さらにインタビュー調査を補充して、できるだけ多くの具体例を検証するように心がけています。
人間科学専攻
社会心理学
社会的な場面における意思決定について研究しています。特に規範・秩序の成立と人間の意思決定の関係に関心があります。これまでの研究では、人々が限られた資源をどのように社会の成員に分配することを好むかについて主に実験室実験を用いて明らかにしてきました。より近年では、研究に利用可能な実社会データや計算資源が増大していることを活用した社会心理学研究に注目しています。
仏文学専攻
19世紀フランス文学
19世紀フランス文学、とりわけスタンダールを対象に小説、伝記、自伝、旅行記、政治論、芸術批評といったジャンルの作品の読解に取り組んでいます。古代ローマ人、芸術家像、チチスベオの習慣、王政の原理、軍人の理想といった主題を通してあらわれる「名誉」の概念を取り上げながら、19世紀の作家たちが過去から継承した主題や理想をいかに変容させたのか検討しています。
日本史学専攻
日本近世史
近世社会は、私たちの生きる近代社会の前提をなす、いわば伝統社会に当たると考えられます。私は仏教を切り口として、この時代の在り方を考えています。「宗教社会史」と銘打って、取り組んでいるところです。
出発点は、地域で生活を営む民衆と、仏教の救済思想との関係を問うことでした。近年では、仏教教団と幕藩領主との関係、言い換えれば近世の政教関係を検討しています。また、神仏をめぐる秩序にも関心を持っています。