近年、グローバルな「韓流ブーム」の影響もあり、世界的に学習者が増えつつある韓国語は、2022 年現在、母語として韓国語・朝鮮語を使用する人口が約7,500万名に至っており、世界で15位を占めている(日本語は11位)。
言葉は文化の一部でありながら、文化を表現・理解する上で極めて重要な媒体でもある。つまり、言語を通したコミュニケーションとは単純に意思疎通を図る行為ではなく、その言語の背景となる社会や文化を正しく理解すると同時に、自身の社会や文化についても正確に伝えることと深くかかわるものであるといえる。
本学での韓国語の学習においても、単語を覚え日常会話ができるレベルを超え、韓国社会についての知見を増やすことを目標としている。そのために、日吉キャンパスでは、必修科目の「韓国語I・II」の他に、「韓国の社会と文化I・II」を開設し、韓国の伝統社会や現代社会に関する学習者の理解を助けている。そして、社会学専攻においては、「韓国と日本の若者文化比較」をテーマとした3学年と4学年のゼミ(社会学研究会I・II・III・IV)を開設し、同世代の若者の考え・関心事・置かれている状況などの、共通点と違いを文献やマスコミなどの多様な資料を手掛かりに究明・理解する活動を行っている。また、夏休み中に韓国(ソウル)でのゼミ合宿(フィールドワーク)を実施し、ゼミを通じて得た知識を、現地にて実証的に検証することを目指している。韓国では、現地の大学生との交流会もあり、韓国語の学習者は自身の語学力を活用できる貴重な機会ともなっている。
日本と韓国は隣国でありながらも、不幸な歴史の傷跡を持ち、政治や外交においては依然として難題を有しているが、その一方、近年の若者を中心としたお互いへの関心や交流の増加は、未来に向けた明るい兆しとして見受けられる。
本学でも、最近、韓国の音楽・ドラマ・映画などへの興味から韓国や韓国語に関心を持つようになった若者が増えているが、それがきっかけとなり、両国の若者同士の交流に繋がることを大いに期待している。