ギリシア語とラテン語は古代ギリシア・ローマの文学・歴史・哲学などの文献を原典で読むために必要なだけでなく、その後のヨーロッパ文化を学ぶ上でも基本となる言語です。ギリシア語ならホメーロスの叙事詩『イーリアス』や『オデュッセイア』、アイスキュロス、ソポクレース、エウリーピデースの悲劇、アリストパネースの喜劇、リューシアースやデーモステネースの弁論、ヘロドトスやトゥーキューディデースの歴史、プラトーンやアリストテレースの哲学、ラテン語ならキケローの弁論や哲学書、カエサルの『ガッリア戦記』、ウェルギリウスの『牧歌』や『農耕詩』、『アエネーイス』、ホラーティウスの『カルミナ』、カトゥッルスやプロペルティウス、ティブッルスらの恋愛詩、オウィディウスの『変身物語』、セネカの悲劇や哲学等々、西洋文学史上、重要な作品が数多くあります。
また、ラテン語はイタリア語やフランス語、スペイン語などロマンス諸語の祖であり、英語にも多くの語彙が取り込まれており、中世以降もローマ教会の共通語、さらには学術語・教養語としてヨーロッパで重要な地位を占めて来ました。 慶應義塾のモットーであるCALAMVS GLADIO FORTIOR「ペンは剣よりも強し」も The pen is mightier than the swordをラテン語訳したものです。
文学部には残念ながら西洋古典文学・文献学を専門とする専攻はないものの(西洋の古代哲学や古代史は、それぞれ哲学専攻や西洋史学専攻で学べます)、学生の知的好奇心を満たすだけの多くの授業が開講されています。また、三田キャンパスでは日本の大学では珍しい現代ギリシア語を学ぶこともできます。
古典ギリシア語とラテン語は共に必修語学ではなく選択科目なので、学びたい人が学びたい学年から受講することができ、文学部以外の学生も受講しています。週1回の授業がレベル別に複数開講されており、将来研究に必要な文献が読めるようになることが目標なので、文法の知識を身につけ、テクストを精読する訓練が中心となります。成績は半期毎に出ます。
古典ギリシア語やラテン語を学ぶには、西洋の現代語2ヶ国語分の労力が必要だとよく言われます。道のりは長いですが、数千年前の文章を読み、古代の人たちと対話する喜びは何物にも変えがたいものがあります。予習と復習を欠かさず、コツコツと取り組んでみてください。
Festina lente!(ゆっくりと急げ!)