日本と二千年にも及ぶ交流を持つ中国は、いまや単なる隣国であるにとどまらず、世界への大きな影響力を保持する大国としての様相を現しています。中国は、日本人が慣れ親しんだ欧米的なスタンダードとは異なる、新たなスタンダードの構築を目指していると言えるかも知れません。
慶應義塾では中国やアジアに関する様々な学問分野が研究されています。文学部を例にとると、東洋史学専攻や中国文学専攻は言うまでもなく、社会学や教育学、国文学、民族学考古学などの専攻でも、中国やアジアの文化・社会・地域を対象とした研究が盛んです。こうした研究を志す人にとって、中国語の学習は必須のものといえます。また中国語は、研究はもとより、就職そして実業の世界でも大きな武器となり得ます。その先には、中国のみならず様々な「世界」と向き合う自分なりの姿勢を手に入れる展望も開けてくることでしょう。
文学部中国語は、「聴く・話す・読む・書く」の総合的な力を養うことを目標とし、初級から最上級までの全てのレベルで、文法・読解中心のクラスと会話中心のクラスの両方を履修するように設定しています。会話中心のクラスはいずれもネイティブ教員が担当し、読み書きだけに偏らない中国語の力をつけられるよう、中国語で話す機会を多く持てるようにしています。
初級・中級・上級の3つのレベルの授業を設置しています。いずれのレベルも授業は週3回行います。
初級クラスは、完全な初学者を対象とします。週3回の授業のうち2回は日本人教員が担当し、主に発音とピンイン(ローマ字による中国語の発音記号)、文法、応用(練習問題など)を中心に学習します。1 回はネイティブ教員が担当し、発音、聴き取り、会話の練習を重点的に行います。
中級クラスは、1~2年程度の中国語学習歴がある人が対象です。具体的には、高等学校で中国語を履修した人、中国語検定で4級を取得した人などです。週3回の授業のうち2回は日本人教員が担当し、中国語初級文法の確認と発展、語彙の拡大、読解力の向上を目指す授業を展開します。1回はネイティブ教員が担当し、極力中国語を使って授業を行い、実践的に中国語のリスニングとスピーキングの力を鍛えていきます。
上級クラスは、中国語検定2級・HSK5級相当以上のレベルの学習者を対象とします。週3回の授業は作文、会話、読解に分かれており、各技能を一層高めることを目指します。作文・会話の授業はネイティブ教員が担当します。
中級・上級・最上級の3つのレベルの授業を設置しています。基本的に、日吉で初級を履修した学生は中級を、中級を履修した学生は上級を、上級を履修した学生は最上級クラスを履修します。いずれのレベルも授業は週2回行います。
中級クラスでは、週2回のうち1回は日本人教員が担当し、中国語初級文法の確認と発展、語彙の拡大、読解力の向上を目指す授業を展開します。1回はネイティブ教員が担当し、実践的に中国語のリスニングとスピーキングの力を鍛えていきます。
上級クラスでは、週2回のうち1回は日本人教員が担当し、中国語文献を講読し、読解力の向上を目指します。1回はネイティブ教員が担当し、中国語のリスニングとスピーキングの力の向上を図ります。
最上級クラスでは、週2回の授業は会話、読解・作文のクラスに分かれており、各技能を一層高めることを目指します。授業はいずれもネイティブ教員が担当します。
古来、日本は中国の文化から多くを学びました。複雑な歴史的背景のもと、現在は双方向的な関係を結ぶべき時期に来ています。飛行機に乗ればわずか3時間程度、容易に往来できるのは隣国の利点です。日中間で多くの企業や留学生が往来し、そして多くの中国の若者は、日本のドラマやアニメなどのポップカルチャーを愛好しています。共有してきた文化を知る喜びと、近くて遠い異質の感覚に触れる楽しみ、その両方の可能性を中国語の学習は皆さんに与えてくれることでしょう。
中国は多民族国家ですが、中国籍を持つ人は14億人にも及びます。これは世界の総人口のおよそ5分の1にあたります。「你好!Nǐhǎo!」(こんにちは!)からはじまる一言ずつが、皆さんにとって世界への窓口を大きく開くスキルになることと思います。